『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』【感想・レビュー】~ゲームノ読ミ物(16)~

 『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』は、「"悪魔城ドラキュラ"らしい王道アクションゲーム」である。
 初代から続く『悪魔城ドラキュラ』から『キャッスルヴァニア』にタイトルを変更した作品。
 どのような内容なのか、独自の視点で語っていきたい。

良質のグラフィック

 中世の城とおどろおどろしい空間を組み合わせたのがドラキュラの様式美。本作においても、その世界観をしっかり継承している。
 個人的な見解で恐縮だが、グラフィックに関してはGBAがゲームらしい進化をしている意味で優良ハードだと思っている。キャラクターが3DモデリングのCGになると途端に愛せなくなってしまうのは、我ながら困ったものです。

 背景はエリアごとにきちんと描き分けられていて、表記されなくても自分の位置を直感的に把握しやすい。多重スクロールを駆使した奥行きのあるステージは、どれも目を見張る完成度を誇る。
 空中回廊の流れる雲や、異端礼拝堂のステンドグラスなど、思わず息を呑む背景も本作のクオリティアップに欠かせない要素である。

 敵も背景に負けず劣らず凄い。
 攻撃のパターンだけでなく、倒した時の演出も凝っている。雑魚キャラであっても登場から撃破のアクションに妥協はない。まさに「神は細部に宿る」という言葉が相応しい仕事ぶりである。
 巨大な敵も多く存在し、どれも個性と存在感がある。破壊するなら、やはり大きい方がスカッとするものだ。

良質のBGM

 BGMは本編を盛り上げる上で欠かせない。ドラキュラシリーズのように世界観が確立していれば尚更である。
 特に本作は完成度が高い。ひかりごけの洞窟や異端礼拝堂のエリアでは思わず聴き入ってしまうほどだ。
 最近はゲームのBGMに生音を使うことも少なくないが、ドット絵には打ちこみの電子音がよく馴染む。

コレクション要素

 『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』には、コレクター魂に火を付ける要素がある。

 クリアするだけなら各所に置かれた装備だけでも可能。しかし、店での購入やモンスターのドロップでしか入手できないアイテムは数多く存在する。そのほとんどはぶっちゃけ不要なものだが、それでも集めたくなる。それがコレクターの性なのだ。

 モンスタードロップに関しては、レアリングを装備することでアイテムドロップ率を上げられる。この救済措置があることで、確率を現実的なレベルに引き上げてくれる。逆に言えば、レアリングを装備しないと地獄である。

 店での購入は簡単そうで少し面倒くさい。まず店はそれぞれ場所が離れている。くわえて、出現条件も異なる。資金集めも効率よく行わないと時間ばかり浪費してしまうなど、無駄にハードルが高い。
 場所によっては希少な回復アイテムなどもあるため、実際の攻略にも役立つ。ただし、それほど難しいゲームではないため、店の利用は趣味の域を出ない。

 家具はいかにもコレクター向けのように思える。ところが、普通にマップを埋めれば全部集まってしまうので拍子抜けである。

気になった点

 まずストーリーの希薄さ。物語の流れは理解できるが、あまりにも劇が少なすぎて盛り上がりに欠けた。端役であるはずの死神の出番が多すぎたせいかもしれない。

 家具は全部集めても、エンディングがわずかに変化するだけ(しかも、両方を確認しないとその違いが分からない)。わざわざコンテンツの一部として存在する割にはメリットやリターンが少なすぎる。

まとめ

 ドラキュラシリーズとしては及第点以上の出来。操作性もそれほど悪くなく、バランスも大きく偏ることはなかった。シリーズ好きでなくても、安心してオススメできる良作。

 最後に、BGMの素晴らしさは重ねて強調したい。何というかファミコン時代のコナミを少し思い出させてくれた。