『キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲』【感想・レビュー】~ゲームノ読ミ物(17)~
『キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲』は、「遊びをクリエイトするドラキュラ」である。
ゲームボーイアドバンス(以下GBA)の3作目で、集大成ともいえる作品。主人公に日本人を起用したことでも話題を呼んだ本作を、独自の視点で語っていきたい。
ストーリー
主人公の来須蒼真は秘められた能力に目覚めながらドラキュラ城を探索する。そこで出会った人間は、一癖ありそうな者ばかり。蒼真以外のキャラクターがしっかり機能しているので、短い内容なのに明解で面白いものに仕上がっている。
最初に触れたが、主人公を日本人の高校生にする大胆な設定には驚いた。しかし、和の要素は主人公とヒロイン、そして一部のアイテムぐらいしかない。蒼真も見た目が”洋”なので、せっかくの設定を活かしきれなかった印象は強い。
システム
タクティカルソウルは実用性と蒐集欲をくすぐる優良なコンテンツ。ゲーム性だけでなく、グッドエンドの条件にもなるなど本作の根幹を成している。
ほぼ全ての敵が所持しているため、新たな敵を見かけるたびにどんなタクティカルソウルなのかと期待してしまう。全編通してその気持ちが持続するせいか、中だるみもなく最後まで楽しくプレイできる。
武器は全部で59種類あるが、驚くべきことに全て固有のアクションになっている。
モーションが固定されたドラキュラシリーズにおいて攻撃パターンを柔軟に変化させることはかなりの冒険だったはず。実際の攻略にそれほど影響はないものの、プレイに奥行きが生まれたことは間違いない。
遊び心が豊富
回復アイテムの種類が多い。果物や海産物にくわえてカレーやラーメンなどの一品料理も存在する。さらに、くさったにくや3年ミルクというトラップアイテムがあり、それをドロップするモンスターの背景が透けて見えるのもまた一興。
あとは、槍を持った悪魔の名前がゴルベーザ四天王になっている。理由は不明だが、FF4をプレイしていれば無視できるはずがない。
できることなら、ルビカンテのタクティカルソウルはHP回復にしてほしかった。奇襲気味に襲ってくる配置など、まったく正々堂々としてないのが逆に面白い。
気になった点
ソウルやアイテムのドロップ率の低さはどうしても気になる。
レアリングやソウルリングで出現率は上がるものの、劇的な上昇ではない。とくにソウルリングは入手するのが一苦労。
ソウルトレードに関しては、ソロゲーの本作にわざわざ付けるほどの機能ではなかった。これを実装するぐらいなら、もう少し全体的にドロップ確率を上げてほしかった。
まとめ
GBAの3作目でハードの性能を熟知したためか、本編以外の充実ぶりがすごい。これは制作に多少の余裕があるからこそできる"遊び"だろう。その結果、多くのプレイヤーの満足度を高められたのではないかと思う。
操作性の向上による遊びやすさと、ドラキュラならではの難しさが融合した、GBAの集大成と呼ぶに相応しい良作である。
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