『ボンバーボーイ』はボーイにあらず【感想・レビュー】~ゲームノ読ミ物(20)~

 ボンバーボーイは、1990年に発売されたゲームボーイ用カセット。ファミコンで発売されたボンバーマンの新作にあたる。その内容について独自の視点で語っていきたい。

ボンバーボーイ

 本作のメインコンテンツ。難易度は全体的に低めだが、最終盤に牙を剥いてくる。
 ちなみに主人公の名前は、ボーイではなくキッド。
 キッド「I’m not BOY」

パワーアップパネル

 ボンバーマンは原則として、パワーアップパネルを取得することで自身を強化する。
 ボンバーボーイでは、パネルは取得するだけでなく店で購入もできる。
 所持したパネルは出撃前に装備することで効果を発揮。つまり、自分好みにカスタマイズできるようになった。
 パネルの種類は、拠点を制圧するごとに増えていく。難易度が上がるほど優秀なパネルが解放される仕組みになっている。
 パネルには永続タイプと消費タイプがある。永続タイプは爆風や爆弾といった性能アップ系。消費タイプは壁抜けやタイム延長など、プレイを有利に進められるヘルプアイテム系になる。
 パネルは所持数に限りがあるため、全ラウンドで強力なパネルを使ってごり押しすることは難しくなっている。

 そして、ボンバーボーイで忘れてならないパネルがエリクサーである。
 エリクサーは装備することでミスしてもその場で復帰できる。さらに所持すればコンティニューも可能。ただし、コンティニューの場合は装備していたパネルは全て消滅してしまう。エリクサーがない状態でミスをするとゲームオーバーとなり、パスワードが表示されたあと強制的にオープニングへ戻される。
 つまり、エリクサーがなければ一回のミスでゲームオーバーになる。エリクサーは保険であり、残機を兼ねる重要アイテム。
 エリクサーという名称だが、ロボットが使うから実際はロボビタンAみたいなものかもしれない。

ステージ関連

 ステージは全部で8つ。それぞれに難易度やラウンド数が異なり、クリアするとパネルが解放されていく。
 ひとつのラウンドは短く、1分前後で終わるものも少なくない。残っている敵の数を常に表示してくれるが、戦闘エリアはかなり狭いのであまり意味がない。それでも制限時間が少ない終盤だけはお世話になるが。

 各ステージには、それぞれ専用ギミックがある。爆風を2回当てないと壊れないブロックや、風が吹いて移動に影響したりなど多種多様。
 ワープステージでは、敵がワープゾーンに突っ込んで自滅することもある。なぜ敵が消滅する処理にしたのかは不明だが、不具合に対応した結果なのかもしれない。何もしていないのに敵のカウントが減るのはなんとも滑稽ではある。

 ファイナルステージでは壁が炎になっており、触れるとミスになってしまう。曲がるたびに緊張感が走るので、難易度は一気に跳ね上がる。エリクサーは最低でもダース単位での購入が必須。

 敵はステージごとに異なり、多数登場する。とはいえ、個性は初代にくらべるとやや低下ように思う。姿形は異なっても、行動パターンやリアクションが同じものが多くて味気ない。もう少し行動制御にバリエーションを持たせてほしかった。

 ブロックを通過する敵はボンバーマンでもいたが、破壊する敵は御しやすいだけだと感じた。

ボンバーマン

 ファミコン版の移植。ステージ数、グラフィックも同じであり、おまけとは思えないボリューム。
 ただし、フロアが狭くなっている。そして、隠れキャラもいない。
 純粋にクリアを目指すだけなら問題ないが、隠れキャラがいないのは大減点。デゼニマンは夢幻の如く也。

対戦モード

 パネルを取ってパワーアップするスタンダードタイプと、最初から最大強化状態で戦う二つのモードがある。
 タイマンのみなので、後年に発売された複数対戦ができるボンバーマンとは違いギスギスしやすい。

気になった点

 拠点を制覇したときの救出シーンで、たくさんの仲間から必ず同じキャラが出てくるのは残念。いっぱいいるのだから、ステージごとに違う仲間を出すべきだろう。
 この一点だけはすごく手抜き感を覚えてしまった。

まとめ

 「ストーリー性とゲーム性を付与したボンバーマン」

 ボンバーマンに新しいシステムを組み込んだ意欲作。自分でパワーアップをカスタムできる楽しさは新鮮だった。
 ただ、アクションゲームが得意な方にとっては少し物足りなさを感じるかもしれない。もう少しボリュームとクリア後のおまけ的なものがあれば、評価はもっと上がっただろう。

PR