『コナミワイワイワールド』のワイはワイルドのワイ【感想・レビュー】~ゲームノ読ミ物(22)~

 『コナミワイワイワールド』は、1988年1月に発売されたファミコン用アクションゲーム。
 概要をみれば歴代のコナミ作品が一堂に会した"お祭りゲー"としての華やかな印象が強い。しかし、その中身は誰でも楽しめるお手軽さは微塵もない。
 今回はコナミ全盛期の看板タイトルを独自の視点で語っていきたい。

キャラクター

コナミマン

 シナモン博士に作られたアンドロイド。コナミ作品の隠れキャラとして登場していたが、今回ついに主役として抜擢された。マントを入手すると空を飛べるのが特徴。

コナミマンレディ

 コナミマンと同じくシナモン博士に作られたアンドロイド。特徴はコナミマンとほぼ一緒。専用武器は貫通するため、敵が多いときに真価を発揮する。ビキニが眩しい。

ゴエモン

 『がんばれゴエモン』の主人公。
 通常攻撃は上を向いているため、上から来る敵に対して強い。逆に地を這う敵は苦手。足元がお留守な泥棒というのは少し間抜けな気がする。
 特殊能力は大ハートの入った宝箱を開けられる。終盤ではそれで助けられることも多い。

シモン

 『悪魔城ドラキュラ』の主人公。
 通常攻撃(ムチ)の射程の長さが特徴。ただし連射は効かない。
 専用武器のクロスがとにかく優秀。道中からボスまでどこでも使える。仲間になってほぼ同時に入手できるので、本当に頼れる存在。

フウマ

 『月風魔伝』の主人公。
 通常攻撃で岩を破壊できる。射程は短いが攻撃力は高い。
 専用武器の手裏剣は攻撃範囲が広めで岩も破壊できる優秀な攻撃。ただし、弾丸の消費の多さが唯一のネック。

マイキー

 『グーニーズ』の主人公。
 背が小さいため、狭い通路を抜けられる特性を持つ。
 逆にそれ以外の特徴がなく、あえて使う必要性は感じられない。
 BGMはおなじみの映画主題歌『The Goonies 'R’ Good Enough』ではなく、『グーニーズ2』のメインテーマが採用されている。

コング

 『キングコング2』の主人公。
 ジャンプ力の高さが特徴。専用武器の岩で岩を壊せる。
 他のキャラの専用武器はちゃんと武器のデザインになっているが、コングだけは何故かバナナ。そんなバナナ。

モアイ

 『グラディウス』のステージ3で登場する敵。
 ジャンプ力と攻撃力が高い最強の仲間。顔に直接足が生えているニコちゃん大王スタイルがかわいい。
 コナミのアイドル的存在であり、大トリとしての存在感は抜群。モアイを操作する喜びを体感してほしい。

ビッグバイパー&ツインビー

 『グラディウス』と『ツインビー』の主役機。
 シューティングステージで活躍する両機体。プレイ中にセレクトで切り替えられるのはあまり知られていない。

ステージ詳細

江戸ステージ(ゴエモン)

 最初に選択するステージ。コナミマンとコナミレディの入れ替えでBGMを変更しながら楽しめる。
 最初のステージではあるが、敵の行動はそれほどやさしくない。急襲する火の玉と天狗は鬱陶しいし、槍僧は射程が長く、肉を切らせて骨を断つ戦法しかないのは辛い。

 途中にお店が並んでいる。
 丁半博打は当たれば倍、負ければ半分の倍々ゲーム。ここで稼げると後が楽になる。
 隣にはカジノもある。バニーガールにスロットと、和のイメージを完全否定しているところが面白い。違和感はすごいがそこそこ揃うのでやる価値はある。
 さらに呪われた店というライフを賭ける館もある。負ければライフを少し奪われるが、勝てば全快してくれるので結構良心的だったりする。

 屋敷内には様々なアイテムがあるものの、現時点では取れないものが多く、若干ストレスが溜まる。
 中ボスの竜は、うまく誘導して正面から叩けばあっさり終わる。ヒット時に敵が止まる仕様なので、一度叩ければ一気に倒しきれる。
 ボスはいないので、囚われたゴエモンを助けるとクリア。

キャッスルステージ(シモン)

 江戸ステージにくらべて敵が固くなり、同じ感覚でプレイすると簡単にやられる。
 ボスは一つ目カエルのタドポール。実質最初のボスであり、専用BGMで威圧感はある。でも、くぐって攻撃を繰り返すだけで倒せる。
 ちなみに某ロックマンのトードマンも同じ攻略法で倒せる。ゲーム内のカエルボスはメーカーが違っても同じ行動を取るのかもしれない。討伐後、カギを入手。
 そして、原作のラスボスであるドラキュラは、ただの雑魚扱い。制作スタッフはドラキュラに恨みでもあるのだろうか。

 シモンは仲間にしたあと、すぐに城の屋上で専用武器のクロスを入手できるのが魅力。
 ただし、クロスを入手する場所は落ちたら終わりの即死エリアなので、全滅のリスクも高い。
 コナミレディのヒートガンがある場所も落下事故の多発地帯。ここから入れる保険などありません。

港町ステージ(マイキー)

 敵が離れた配置されているのでシモンが活躍する。クロスも使えばごり押しも可能。
 敵は動物タイプが多い。高速移動のセイウチや、弾を吐くシロクマなど、大自然の脅威が次々と襲い掛かってくる。
 ボスはおらず、牢に囚われたマイキーを助けて終了。

大都会ステージ(コング)

 マイキーがいないと進めない場所がある。
 敵はメカばかりで、大都会よりもSFな雰囲気が色濃く漂う。
 ボスは飛空兵器のボスコンガー。似ているがα・アジールではない。ボスエリアに入ると同時に襲い掛かる誘導ミサイルとBGMがいい演出になっている。とにかく原作ボスと同じBGMが熱い。本当に熱い。
 牢に囚われたコングを助けて終了。

地獄ステージ(フウマ)

 ここから難易度が跳ね上がる。これまでとは殺意が違う
 コングがいないと進めない場所がある。コングは他のキャラより攻撃力が高いので、コング以外だと更に難易度が上がる。いかにコングを死なせずに進めるかが肝要。
 途中で重要アイテムのマントを入手。

 最大の難関は橋に差し掛かる場所。サイズの小ささからただの雑魚に見えるが、れっきとした原作の中ボスたちである。攻撃力と耐久力は他の雑魚とくらべて段違い。
 ボスはおなじみ龍骨鬼。BGMは説明するまでもなく神。
 倒すとフウマが落ちてくる(仲間になる)。

怪獣ステージ(モアイ)

 元ネタのないステージだが、やけに凝っている。
 岩を破壊しなければ入れないため、フウマが必須。
 実はコングでも専用武器の岩で壊せるため、フウマの前に行くことも可能。ただ、岩を壊すのはフウマの手裏剣が圧倒的に楽。

 雑魚で出てくる炎をまとった恐竜が手ごわい。しかもやけに姿勢の良い二足歩行。エグい。
 中ボスのドラゴンもかなり強敵。炎を吐きまくるので、被弾覚悟の上で攻撃しなければならない。しかも、複数個所で出現。エグい。
 背景のメカモアイはセンス溢れるデザイン。倒せないように見えて普通に倒せる。
 終盤にある宝箱の大ハートが救い。ゴエモン唯一の見せ場なので絶対に死なせてはならない。
 ボスは勿論モアイ。うずまきはあるが、ドリームキャストは関係ない。湯川専務がこのゲームをやっていた可能性は否定できないが。
 岩に埋められたモアイが謎の言語で助けを求めている。カギで助けられるが、どこにカギを挿したのかといった疑問は胸にしまっておこう。現代の人間が理解しようとすることこそ、そもそもの間違いである。

シューティングステージ

 3のシャッターからツインビーかビッグバイパーに乗り込むと、これまでの本格アクションゲームから本格シューティングゲームへと切り替わる。
 前半はツインビー、後半はグラディウスの構成。

 ボスは超巨大で、最初は柱の男を思わせる風貌。ところがすぐに化け物へと変貌するなど、ちょっと置いてきぼり感のある演出が入る。解説はないが、ファミコンなのでそこはあまり突っ込んではいけない。

内臓ステージ(ファイナルステージ)

 専用BGMがおどろおどろしいファイナルステージ。
 ここでは達磨のようなスライムが極悪。一度取りつかれたら振り払うのは難しく、ダメージを受け続けてしまう。メトロイドを彷彿とさせる脅威だが、メトロイドをパ○ッたかどうかは分からない。おそらくパ○ッたんじゃないかな。(※個人の感想です)

 中ボスは沙羅曼蛇のゴーレムみたいな化け物。腕ではなく目を伸ばしてくるが、実は目に攻撃判定はない。本当に謎すぎる生態。
 ラスボスはエイリアンそのもの。ヤケクソみたいにスライムが集まってくるので、やられる前にやる戦法しかない。私の場合は、シモンのクロスでボスを攻撃しつつスライムを薙ぎ払うのが定番だった。エイリアンハンター・シモン爆誕。

 ラスボスを討伐後、いきなり制限時間が表示。実は来た道を戻ることで初めてクリアになる。遠足と同じで、スタート地点に帰るまでがファイナルステージなのだ。
 このとき、コナミマンとコナミレディがいないと空を飛んで移動ができなくなり、一気に難易度が上がる。そのため、コナミマンかコナミレディはどちからか必ず残しておかなければならない。そうしないと、過去の自己嫌悪に陥りながら脱出するハメになる。
 とはいえ、余計な行動を取らなければ余裕はある。BGMでめちゃめちゃ焦らされるけど。

 余談だが、エンディングの記念撮影に心霊写真は存在しない。性質の悪い条件のウソ技は許すまじ。

小ネタ

ゲストキャラ

 転送装置を作動するのは『けっきょく南極大冒険』のペンギン。後にパロディウスで登場するなど、ちょくちょく顔を出す。コナミは何気にタイトル間を跨ぐキャラクターをたくさん生み出している。あまり自己主張をせず、慎ましい登場のさせ方が絶妙だった。

隠し転送装置

 実はほとんどのステージの終盤に隠し転送装置があり、研究室へショートカットができる。ただし、一見して全く分からないので、知る人ぞ知る裏技。ノーヒントで分かるわけないと思われる人も多いだろうが、ファミコンとはこんなものだ。

中身は硬派なアクション

 本作の難易度はかなり高い。お祭りゲーとは思えないほど高い。
 ファミコンの時代は総じて難易度は高く、クリア不可能ではと思えるタイトルの方が多かった。
 その中でもコナミはきちんとクリアできる難易度で調整されているため、大満足の体験を得られる。当時も今も大満足。

2人同時プレイも面白い

 実は2人同時プレイが可能。同じキャラは選べないので取り合いになることは必定。ファイナルステージではコナミマンかコナミレディの片方だけ死んでいると、険悪なムードで脱出することになる。それもまた面白いのだけど。

問答無用の神BGM

 BGMは選択したキャラのテーマが流れる。そのため、自分の好きなBGMでプレイすることが可能。
 どの曲も素晴らしく、文句のつけようがない。

 ボス戦もすべて専用BGMで一切の妥協無し。もう恐れ入りましたとひれ伏すしかない。

気になった点

 スクロールが端に寄った状態で移動するため、出現した敵の対応がシビアになる。
 一部の攻撃は回避が非常に難しく、被弾前提になる敵はやや気になった。

まとめ

「硬派でワイルドなお祭りゲー」
 これほどしっかりした作りのお祭りゲーは極めて珍しい。ワイワイするだけでなく、面白くてやりがいのあるアクションゲームをこれほど高い完成度で作る技術には舌を巻く。それも遠い昔の話なのが悲しい。

 残念なのは完全移植が難しいこと。キャラ変更をしている携帯アプリ版でも構わないので、新しい機種への移植をしてほしい。もしくは、新しいコナミのキャラクターたちを集めたワイワイワールド3というのも悪くないかもしれない。
 桃太郎が電車で敵を轢き、藤崎詩織が瞬獄殺をする世界。ワイルドだろう?

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