『レッドアリーマー2』【感想・レビュー】~ゲームノ読ミ物(7)~

2024年7月11日

 『レッドアリーマー2』は、「アクマ版"勇者伝説"」である。
 敵が主人公になった先駆けのタイトルの続編。今までの常識を覆す挑戦的な内容が、果たしてファミコンでどのように仕上がったのか。これから紐解いていきたい。

それは勇者の物語

 アクマ版の勇者とは如何なるものか。まず興味をそそられるポイントではあるが、蓋を開けてみれば人間と同じものだった。
 敵は世界を滅ぼすものであり、レッドアリーマーは自分の世界を守るために戦う。魔界にも世界に危機が訪れたとき、勇者が現れるという伝承がある。行く先々で応援されるし、励ましてもくれる。つまり、所属が違うだけで、今までプレイしてきたRPGと何も変わらなかった。
 明確な違いは、王自身が強大な力を持っているかどうか。人間であれば特別な力を持つ者に会いに行くが、アクマは魔王自身が特別な力を持つため、必然的にお使い要素が減っている。

 村にいる魔物たちとの会話も気になった。どのキャラも理知的な話し方をするので、魔物同士の会話としては物足りない。決してゾンビが理路整然と話してくれることが悪いわけではない。ただ、もうちょっとカオスな感じを期待していたせいか、肩透かしを食らった印象は否めない。最後にゲロを吐くぐらいのサービスはして欲しかった。
 結論:話の噛み合わない人間はアクマより性質が悪い。

RPGモード

 本作はRPGの割に様々な要素が欠けている。育成要素は皆無に等しいし、宝箱が置いてあるわけでもない。
 フィールドを移動してもランダムエンカウントはない。敵との戦いは、イベントと点在する固定のシンボルエンカウントのみ。つまり、フィールドの移動は視覚的な意味合いがほとんどである。
 キャラクターの強化はストーリーの進行に合わせて行われるため、レベル上げ等の作業はない。ただし、やみのちから(残機)を増やす場合は、シンボルエンカウントでたましいを稼ぐ必要が出てくる。その場合は同じ敵ばかりと連戦するので、普通のRPGよりも作業感は強い。
 RPG要素は移動と会話とお使いイベントのみなので、アクションモードの繋ぎと考えた方が正確だろう。先の項でも触れたが、アクマらしいセリフが聞ければもう少し楽しめたかもしれない。それでも『ドラクエ4コマ劇場』のようなモンスターだったら、逆にコメディ色が強くなりすぎるので塩梅が難しい。

アクションモード

 打って変わってアクションモードは、とにかく難易度が高い。レッドアリーマーの攻撃は連射できない上に、敵の配置や攻撃もいやらしい。アクションの苦手な方なら詰まってしまうことも十分あり得る。
 そのかわり、ストーリーに合わせて強化されていくのは楽しい。その中でもジャンプとウイングのレベルアップは、アクションの幅がどんどん広がっていく。新しい魔力も行動の選択肢が増えて、さらに自由度が高まっていく。特にウイングが最大LVになると、滞空ゲージが減らなくなる。そのおかげでゲーム性が劇的に変化して面白くなるのだが、最終盤の短い期間のみだったのは実にもったいなかった。

いいところ&気になった点

 いいところはシンプルな作り。一本道で迷うことがなく、謎解きの要素もほとんどない。RPGとしては物足りないが、アクションに集中できると考えればメリットである。
 そして、フィールドの移動速度が速いこと。おかげでフィールドや村の移動に対するストレスはかなり軽減されている。ただし、アクションモードへ移行したら、途端に動きが重いと錯覚してしまう。

 気になった点は、パスワードで復活すると、たましいとやみのちからがリセットされること。せっかく貯めたやみのちからがリセットされるのはかなりショック。コンティニューすると難易度が急上昇する仕様はあまりにも優しくない。これぞアクマの所業なり
 あとは、発売時期の悪さ。時代はすでにスーパーファミコンへと移り変わっていた。その時期にこのクオリティとボリュームでは、物足りなさを感じずにはいられない。ゲーム自体のクオリティはそれほど悪くないだけに、時代に埋もれてしまった印象が強くなってしまった。これはアクマではなく、カプコンの所業なのだが。

まとめ

 シリーズがゲームボーイからファミコンへつながる珍しいパターンになった本作。レッドアリーマーを主人公にした画期的な設定は見事だったが、タイミングが悪すぎたと言わざるを得ない。
 今後、スイッチオンライン等で復刻されることを切に願わん。