『メトロイド ゼロミッション』【感想・レビュー】~ゲームノ読ミ物(8)~

2024年7月11日

 『メトロイド ゼロミッション』は、「良質の初代リメイク+α」である。
 2004年にゲームボーイアドバンスで発売されたアクションゲーム。18年後にリメイクされた初代メトロイドは、如何に生まれ変わったのか。その中身について触れていきたい。

アクションがオモロイド

 初代のメトロイドは広いマップを覚えるのが大変だった。本作はオートマッピングのおかげで痒い所に手が届くようになり、ゲームとしての完成度は段違いに高い。アイテムの位置や取得の有無も記録されるため、闇雲に壁を爆破する必要はなくなった。さらに石像が次の目的地を教えてくれるなど、至れり尽くせりである。
 各地にある石像は回復ポイントを兼ねており、難易度も大幅に緩和されている。つまり、雑魚を倒して体力やミサイルを回復する作業は必要なくなったのだ。パラメータを見ながら、「俺はあと何回、あの雑魚を殺せばいいんだ?」とゼロ(?)に尋ねなくてもよくなるのは非常にありがたい。

 アクション部分は初代に近い手触りで、原作を尊重しているのがわかる。
 一番はボム連打で高い所へ移動するテクニックが引き継がれていること。かなりの力技だが、ルールを逸脱したような操作感がたまらない。追加されたパワーグリップ(壁等の角を掴む)のおかげで、ボム連打の生きる場面が増えているのも面白い。

 武器は主にビームとミサイル。ビームは敵を凍らせるアイスビームの入手で劇的に変わる。凍らせて足場にすることで、行動範囲を広げる役目も担う。
 ミサイルは攻撃だけでなく、壁の破壊や扉の開閉にも使用する。上位のスーパーミサイルは火力が高すぎるのか、ボスでもあっという間に沈んでしまう。メトロイドも一撃で、メトロイドキラーと命名したいぐらいの殺傷力を持つ。いや、本当にバランスブレイカーで困る。

 リメイク部分を終えた後に始まるゼロスーツサムスでのミッションが完全新規のコンテンツ。それまでとは一転して敵から身を隠しながら進むメタルギア的な内容に変わる。とはいえ、見つかっても簡単にまけるのだが。その後、伝説のパワードスーツを入手して鬱憤を晴らせるのもまた一興。

演出がオモロイド

 体力がゼロになると、わざわざゼロスーツ(体力がゼロという意味ではない)を披露してくれるところはサービス満点。オープニングのムービーから感じられるが、本作はやけに女をアピールしてくる
 サムスが女性なのは初代からの設定。しかし、無闇やたらと見せつけてくるのは少々やり過ぎかもしれない。

 追加要素でストーリーの進行に合わせてムービーが挿入されるようになった。出てくるのは化け物ばかりなのでセリフは一切ない。正直あってもなくても一緒な気がした。何でわざわざ追加したのだろう……。

 メトロイドは出現時に画面奥から現れる演出が追加されている。そのため、画面外からの強襲によるミスは激減した。本作のメトロイドはスピードが速く、そしてでかい。そのせいで数が減って楽になったのは皮肉なものである。彼らも良い生活していたのだろう。

いいところ&気になった点

 いいところは、エンディングの一枚絵。ギャラリーとして登録されるので、やりこみプレイのモチベーションを高めてくれる。条件にはアイテム回収率をほぼ最低限にするプレイなど鬼畜なものもあるが、メトロイドを愛するプレイヤーなら造作もないこと。
 初回の探索プレイだけでなく、周回プレイでもしっかり楽しめるのがメトロイドの底力である。

 気になった点は、ボス(とくにラスボス)前の演出。予兆もムービーもなく、いきなり始まる。ムービーは中盤に消費するより、終盤の盛り上がりに使うべきだったのではないだろうか。

 あとはゼロスーツミッションの短さ。ただ道なりに逃げ回るだけなので、単調すぎたのかもしれない。パワーボムなんて入手タイミング遅すぎるし。スパロボF完結編の五飛ぐらい遅い。

まとめ

 本作が成功した一番の理由は、ドット絵を選択したことに尽きる。ドット絵からの3Dモデリングは、質感が違い過ぎて別物にしか見えないからだ(個人の見解です)。
 現在はスイッチオンラインで配信されているため、気軽にプレイすることができる。メトロイド初心者の方には特にオススメしたい良作なので、この機会に是非プレイしていただきたい。

PR