『のうりん』は文字を当てはめるとおそらくNO倫【レビュー・感想】~アニメノ読ミ物(5)~
『のうりん』は2014年1月から放送された全12話のTVアニメーション。
コメディとシリアスを極端に繰り返すジェットコースターのような物語。ついてこれない人は置いて行かれるので、必死にしがみついて振り落とされないように。

キャラクター
畑 耕作(こうさく)
本作の主人公。至って普通の高2男子。
大ファンだったアイドルの草壁ゆかが引退、そして転校という驚天動地の展開。
時折言動や行動があやしくなったりするが、主に物語を正常に戻す役割を果たしている。
木下 林檎(りんご)
ヒロインその1。
草壁ゆかの名前でアイドルをしていたが、笑えなくなったため電撃引退。
何をするにも無表情で、それが妙に綾波レイを想起させる。
肝が据わった性格をしており、ビキニアーマーもなんのその。みのりとは仲良くケンカする仲。
中沢 農(みのり)
ヒロインその2。
幼馴染、料理上手、世話焼き、ナイスバディと理想のヒロイン属性を詰め込んだキャラ。
実在する舞台設定を意識づけるためなのか、一人だけ訛りがある。
過真鳥 継(けい)
知的な美少年メガネ。しかし、よくよく言動を聞いてみるとヤバい言動が多々ある。
何の脈絡もなく放課後電磁波クラブみたいな水着を着用する。知能指数は高くてもセンスが最悪というよくある(?)パターン。
良田 胡蝶(よしだ)
おっぱい。
戸次 菜摘(ベッキー)
2年A組の担任。彼女こそが下ネタの絶対王者であり、ラスボスであり、隠しボス的存在。
個人的に下ネタでドン引きしたのは彼女が初めてでした。こんなのにバージンを奪われて悔しい……。
四天農(バイオ鈴木、ウッドマン林太郎、ローズ花園、マネー金上)
バイオ鈴木は2年B組の学級委員。BL大大大好きの腐女子。自身は発酵の美少女と自負している。誰がうまいこと言えといった。
ウッドマン林太郎は2年F組の学級委員。男くさいクラスで、とにかく女子に飢えている。勝手に盛り上がって勝手に力尽きる。いわゆる男子校のノリ。
ローズ花園は2年E組の学級委員。男だが男好き。おれたちにできない(やりたくない)ことを平然とやってのける男。
マネー金上は2年D組の学級委員。儲けることに関しては天賦の才を持つ。男のような話し方だが女という中性的なキャラ。
実は良田ことボイン良田も四天農だったりする。
5人共通しているのは、全員どこかのネジが数本外れている。
地上波とは思えない下ネタの量とクオリティ
四天農のひとり、バイオ鈴木が開発したアナルBB。まずネーミングがストレートすぎる。畑に撒くヨーグルトだが、実際は畑に撒かず耕作と継でぶっかけ合うという謎の茶番を繰り広げる。
とくにデンジャラスなのは8話。詳細はあえて書かないし、書きたくもない。よくお蔵入りにならなかったと訝しむぐらいヤバい回。ベッキー無双は脊髄に来る。
9話のバター健に至っては完全に一線を越えているので、この頃の制作環境は救世主がいない世紀末のように荒廃していたのだろう。
本当にこれを地上波で放送したの? バカなの? 死ぬの??(※誉め言葉です)
大量に散りばめられたパロディ
本作の特徴として、アニメやマンガ、ゲームのパロディが多数見受けられる。多数というよりめちゃくちゃ多い。
アニメはルパン三世、ガンダム、もののけ姫、ミスター味っ子など。もののけ姫やガンダムは理解されそうだが、ルパンや味っ子は放送当時でも分からない人が多いだろう。
3話のEDではうる星やつらのパロディを作るなど、気合の入り方が違う。とはいえ、うる星やつらの要素はハーレム展開ぐらいであまりない。
マンガはジョジョ、幽遊白書、サラリーマン金太郎、聖闘士星矢、アカギなど。SNSで見かけるネタが多く、元ネタを知らなくても楽しめるものは多い。やはり時代はSNSがジャスティス。
ゲームはキャプテン翼、スパロボ、モンハン、逆転裁判など。ゲームは見た目に分かりやすく、作品も割と新しめのものが多い。ただ、キャプ翼は無理でしょ。森崎くんが吹っ飛んでるのを見て笑える層は、禁断の呪文「べじいた」を唱えて逝け。
一番の大ネタは、4話の若旦那。「アムロ……刻が見える……」でお馴染みのララァ最期のシーン。しかし、若旦那の恰好は『聖闘士星矢』のアテナ。これはアテナとララァが同じ声優(潘恵子)というマニアックな合わせ技。昭和世代ならピンと来るが、大多数の視聴者はまず理解不能。分からせる気がないという意思表示にも見て取れる。自分がやりたいことをやる。プロにあるまじき姿勢だが、その意気やよし。
シリアスな話もある
下ネタとパロディだけではないのが本作の恐ろしいところ。実はきちんとしたシナリオと呼べる内容も盛り込まれている。
たとえば4話のラスト。笑えなくなった林檎に死んだ土を見せる耕作。長い年月をかけて蘇らせた畑で実ったトマトを食べさせる。苦くて美味しいとは言えないトマトを食べた林檎に笑顔が戻る。それは、今の林檎にとって最も必要な栄養素だった。
7話では、昔の自然を壊して現代の営みがあることを林檎に伝える。
そして、11話と12話はリアルな田舎のお話。
深刻な社会問題である農村地区の状況をしっかり描いている。さんざん無茶苦茶やっておいて、急に真面目ぶるところが本作の持ち味。コメディベースでありながら重いテーマを扱えるのは、序盤でなんでもありの空気を醸成したからこそ受け入れられるのかもしれない。
まとめ
「農業をテーマにした無秩序コメディ」
パロディや細かいネタが多く、観る人の知識量によって作品の見え方が大きく異なる意欲作。
分からない人にはお下劣アニメにしか見えないだろう。しかし、それは視聴者が悪いわけではない。ユーザー層を一切無視した制作スタッフが悪いのだ。
「Don’t think, feel.」
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