『SDガンダム SD戦国伝 国盗り物語』【感想・レビュー】~ゲームノ読ミ物(10)~

 『SDガンダム SD戦国伝 国盗り物語』は、「お手軽な国盗りシミュレーションゲーム」である。
 SD戦国伝の初のゲームタイトル。その内容について独自の視点で語っていきたい。

リアルタイム進行の楽しさ

 まずゲームを始めるにあたってルールを決めなければならない。その項目の中にターン制かリアルタイム制の選択がある。将棋のようなターン制の魅力もあるが、本作を十二分に楽しむならリアルタイム制がいい。常に行動を迫られることで、スポーツのような集中力が試される。UIの使い辛さでイライラするが、それで焦燥感を煽りミスが生まれて泥仕合に発展するのだ。

 特筆すべきは戦の最中に勧誘を行う"ひきぬきシステム"である。某歴史シミュレーションではお馴染みだが、リアルタイム制のゲームに実装したのは斬新。大抵はうまくいかないが、成功したときの喜びはひとしおである。

 戦闘はアクションで行われる。大きなキャラは迫力があり、個性もしっかり表現できている。操作性も良好で、ストレスのないバトルを楽しむことができる。フィールドは一部を除いて入り組んだものが多く、ひたすら逃げまわることも不可能ではない。
 逃げまわりゃ死にはしないが、千年戦争に発展する可能性があるのでご利用は計画的に。

プレイ雑感

 一番の魅力は短時間で終われること。これほど短時間で繰り返しプレイする戦国時代モノは珍しい。

 戦闘は遠距離で戦うことがほぼなく、お互いが接近してノーガードの殴り合い、すなわちボコスカウォーズに終始する。相手が負けたときに出現する魂は踏み台にしてジャンプすることができ、いわゆる"死体蹴り"ならぬ"魂踏み"が可能。武士道に反する行為ではあるが、そもそも誰の魂だよ、とツッコミたくなるのは私だけだろうか。

 CPU戦は難易度:壱だとストレスフリーでプレイできるので楽しい。難易度:参は理不尽な速度で敵が侵略してくる超ドM仕様。”参”というより”惨”の方がより正確である。

 本作の真骨頂は通信対戦にある。敵軍を非表示にすれば、よりゲーム性が増して白熱すること間違いなし。作業感のみの一人プレイとは全く別物である。
 問題はゲームボーイ本体とカートリッジを2組揃えなければならないこと。ポケモンのような一大ムーヴメントを巻き起こしたタイトルならいざ知らず、SDガンダム程度ではボンボンユーザー以外だとほぼいない。コロコロ派に至っては、ガンダムそのものを知らない可能性も高い。

いいところ&気になった点

 いいところは、やはりプレイしても短時間ですぐに終わる手軽さ。軽快なBGMとテンポの良さでちょっと触れるだけでもいい暇つぶしになる。

 気になった点は、遠距離武器の使い辛さ。キャラが大きいため、距離をとって戦うことが難しい。さらに弾数制限があり、ガードも可能とデメリットが多すぎる。
 あとは、CPU難易度の調整。難易度:参のリアルタイム制は理不尽でしかない。

まとめ

 SDガンダムのゲームは名作が多く、ファミコン時代のシミュレーション『ガチャポン戦士』や、RPG『ナイトガンダム物語』は概ね人気が高かった。
 本作はSD戦国伝のゲーム化だが、これも成功の部類に入ると思っている。
 武将をモビルスーツに置き替えたSD戦国伝は、なじみ深い世界観と個性的なキャラクターがゲームの素材として極めて優秀だったといえる。

 ニンテンドーオンラインなどに移植されれば、対戦ツールとして面白い存在になるだろう。しかし、版権ものは大人の事情で難しいのです。悲しいけどこれ、現実なのよね。