『シーファンタジー』【感想・レビュー】~ゲームノ読ミ物(18)~

 2025年1月7日にSteamで配信を開始したロールプレイングゲーム。魚釣りとRPGの融合が、どのような化学反応を見せてくれるのか。独自の視点で語っていきたい。

釣り+RPG=???

 釣り+RPGといえば、『川のぬし釣り』を思い出す方もいるだろう。RPGベースに戦闘部分が釣りという本作と同じようなコンセプトで作られている。
 ところで、この二つの作品には決定的な違いがある。それは、釣りに対する"こだわり“だ。

 『川のぬし釣り』シリーズは、狙う魚に合わせて、竿、浮き、重り、釣り針、餌を付け替える。
 『シーファンタジー』は、一部を除きシーアズに応じて付け替える必要はない。本来の釣りにとって必須の工程でも、釣りを知らないユーザーにとってみれば面倒くさい作業にすぎない。その手間を省くことで、釣りのエッセンスだけをうまくゲーム内に落とし込んでいる。

 魚をシーアズという架空のキャラクターにしたことも魅力のひとつ。デフォルメされたキャラクターは、ドラクエやポケモンのように異常な人気を博すことがある。アニメーションするドット絵は、愛嬌があり愛着も湧きやすくなる。シーアズに秘められたポテンシャルはかなり高い。

 直感的にプレイできるところも評価したい。何をするにもまずはシーアズを釣りあげることから始まる。レベル上げだけでなく、資金を稼いだり、クラフトで装備を作り出すことも同じ。できることは数あれど、やるべきことをシンプルにしている心遣いが嬉しい。

王道を行くストーリー

 主人公のロッドとアクセルが魚釣りの旅に出る。次々に巻き込まれるアクシデントを乗り越え、二人は成長していく。全体的にお使いイベントが多く、ドラマ性はやや控え目。それでも登場キャラクターの個性はしっかりしており、及第点以上の評価できる。

様々なアクション要素(魔道具、横アクション)

 本編を進めていくと、RPGとは全く異なるジャンルのミニゲームのプレイを強制される。その内容は親友のアクセルを操作する横スクロールアクションである。
 個人的には飽きさせない仕様だと軽く考えていた。だが、アクションゲームの苦手な方にとっては苦痛に思うかもしれない。難易度はそれほど高くはないが、RPGの強制イベントとしては評価の分かれるところである。

ストレスフリーなプレイ感

 一連の釣りアクションはかなりテンポが良く、ほぼストレスを感じない。
 移動に関しても船の乗り降りはワンボタン。マップの移動速度は速く、上陸時に無駄な確認をしてこない。宿屋間のワープもあり、文句のつけようがない。

 アクセルの魔道具使用に関しても余計な制限がついていないので使い放題。やれることが増えたとしても、ワンボタンで直感的に使えるのが◎。

やりこみ要素

 図鑑のクラウンサイズ(金冠)集めは定番の面白さ。クラフトによる竿のコンプリートを目指しながら釣ることで作業感を抑えられる。

総評

 釣りをテーマにしているが、中身はれっきとした王道RPG。釣りをまったく知らなくても楽しめる内容にしたのは大きかった。"釣り"をモチーフとしたのは誠に英断である。

 今後もアップデートやDLCなどが準備中とのことなので、まだまだ楽しませてくれそう。
 素晴らしい大作に育っていくことを今から期待しながら続報を待ちたい。

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