TVアニメ『スローループ』【紹介・レビュー・感想・評価】
概要
2022年1月から全12話で放送。原作は『まんがタイムきららフォワード』にて連載中の漫画。作者はうちのまいこ。
あらすじ
釣りが趣味の山川ひよりは、いつものように海で釣りをしていた。そこへ現れた海凪小春は、海を知らない快活な少女。
二人は意気投合して別れるが、実は親の再婚相手の娘同士だった。偶然にも姉妹となったひよりと小春の高校生活が幕を開ける。
登場キャラクター
海凪 ひより(山川ひより)
高校一年生の女子。釣りが趣味で、暇さえあれば竿を手にでかける。ただし、フライフィッシングしかできない。かなりマニアック。
海凪 小春
高校一年生の女子。いきなり波止場から水着で飛び込もうとした突貫少女。細かいことは苦手そうだが、料理は完璧にこなせる。人は見かけによらない。
吉永 恋
ひよりの幼馴染。店番をしたり、弟たちの面倒を見たりする生活が続いているからか、少し大人びた性格をしている。ひとりでコーヒーを嗜む佇まいは、大人を超えて初老感がある。
どういう人向けか
・釣りが好き(とくにフライフィッシング)
・料理が好き
・アウトドアが好き
・まんがタイムきららの作品が好き
レビュー
「誰かと一緒にいられる幸せ」
本作は、人と人との絆を描いた物語。主人公のひよりは、小春との出会いから色んな人と交流をする。そのすべてが、新たな絆を育んでいく。
ひよりと小春は、親の再婚で姉妹になった。小春の明るい前向きな性格が、ひよりにとって良い変化をもたらしている。ひよりの引っ込み思案な性格でも、小春の勢いに任せた行動に振り回されるうちに自分の意思を主張するようになる。小春との日々は、ひよりの欠けていた部分を補う形になった。
小春は、ひよりと出会う前はひとりぼっちだった。小さい頃に母と弟を亡くし、病気がちだったため外で遊ぶこともしなかった。ひとりで映る写真の数々。途切れているアルバムが小春のこれまでの心情を暗に映し出している。ひよりと出会ったことで、たくさんの楽しい思い出を残せるようになった。このくだりは最終話でしっかり回収されている。
幼馴染の恋は、ずっとひよりと一緒だった。家族を失ったひよりや小春とは違い、順風満帆に過ごしてきた。そのためか、他人を第一に考えすぎて自分を押し殺してしまう傾向があった。誰かのために何かをすることに喜びを感じる。大切な友達の不幸に接することで、絆の大切さを痛感したのだろう。
二葉と藍子の関係性にも触れておきたい。
二葉は藍子に嫌われたくないため、釣りが趣味であることを隠していた。
藍子は二葉が他の人と仲良くしているのが面白くない。でも、そんなことを考えていると二葉に嫌われるのではないかと思っていた。
お互いが嫌われないようにと考える。小学生はどうしても親の庇護下にあるため、相手の顔色をうかがうことに意識が向いてしまう。小学生の頃は絆が一方的になりがちだ。しかし、それも人生経験として大切なこと。
藍子がこぼした「二葉の一番でいたい」という言葉を受けて、恋は藍子につぶやく。
「一番って重たいよ?」
絆が深くなりすぎると、いいことだけじゃなく、悪いことも全部一緒に受け止めなければならなくなる。誰かと一緒にいるということは、すなわち共に人生を歩くこと。藍子を諭す恋が、長い人生を振り返る老婆のように見えた。(注:高校一年生です)
人はひとりで生きるより、誰かと一緒にいる方が幸せになれる。小春がひよりと一緒にアルバムに入れる写真を楽しそうに選ぶ姿。それが、本作の出した答え。
感想
・料理へのこだわり
KOI’Sキッチン以外でも数々の料理が登場する。もう料理アニメのカテゴリに入れてもいいかもしれない。釣りアニメだと思って見たら料理アニメだった件。
・母に甘える恋
恋が無邪気に甘える姿は、見てはいけないものを見てしまった感覚に陥る。この瞬間だけは見られたくないという時に限って友達に合う。古典的なあるあるだが、自分と重ねて赤くなる人は多いだろう。
・おねえちゃん
8話のラストに、ひよりが小春を「おねえちゃん」と呼ぶ。家族としての絆がさらに深まったエピソードだが、9話からは小春呼びに戻っている。ひよりが心身共に妹となる日は来るのだろうか。こういうところは日和らないでほしい。
評価
☆☆☆★★
日常をまったりと描いた作品なので、何も考えずに見ても楽しめるのが魅力。疲れていて癒しを得たいときにもオススメ。
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