『機動戦士ガンダム 水星の魔女』感想 PROLOGUE(プロローグ)

2022年11月23日

あらすじ

 オックス・アース社が開発するモビルスーツは、GUNDフォーマットと呼ばれる医療技術を用いていた。その仕様においては搭乗者の身体に負荷がかかるデメリットがあり、モビルスーツ開発評議会(以下、評議会)はそれを理由にガンダムタイプの開発凍結を決定した。

 オックス・アース社に評議会の特殊部隊が送り込まれ、武力によって速やかに制圧されていく。オックス・アース社のモビルスーツはガンビットと呼ばれる特殊兵器を搭載しており、他社のモビルスーツとは一線を画していた。ドミニコス隊のケナンジ・アベリーが搭乗するベギルベウは、GUNDフォーマットのリンクを制圧する兵器を有しており、ウェンディは為す術なく倒されてしまう。

 ガンダム・ルブリスで出撃するエルノラとエリクト。ルブリスとリンクしたエリクトは評議会のモビルスーツを次々に撃破。ケナンジとの接触で窮地に立たされるが、ナディムの捨て身の行動により逃走する。

 その頃、監査組織カテドラルの統括代表に就任したデリング・レンブランは、すべてのガンダムを否定すると宣言した。

感想

 本作の"ガンダム"の定義は、GUNDフォーマットが組み込まれたモビルスーツを指すらしい。オックス・アース社がヴァナディース機関を買収してから開発が始まったと考えれば歴史はかなり浅い。おそらく一企業が所有するブランドみたいなものだろう。

 研究者の代表を務めるカルド・ナボは、人類が宇宙へ進出するためにガンダムを作ったと語る。しかし、評議会の強制的な制圧によりヴァナディース機関の理念や思想は失われてしまった。残されたのはサマヤ親子とガンダム・ルブリスのみ。年月が経った第一話でどのような物語が展開するのか興味深い。

 デリングは兵器とは人間の道具であるべきという考え方を説き、パイロットの命を奪うガンダムを否定した。しかし、ガンダムに対する本心は別の理由だろう。ガンダムが評議会やデリングから露骨に煙たがられる存在となった理由は今後明かされていくはず。

 くわえてガンダム完成の阻止を「魔女への鉄槌」と言い換えた。はじめはカルドを魔女に例えたのかと思ったが、タイトルになるぐらいのキーワードなのでおそらく違う。パイロットが女性限定ではない以上、"魔女"とはガンダム・ルブリスそのものを指している可能性が高い。安直に考えればAIだが、イデのような概念という解釈もできなくはない。現時点ではあまりにも情報が少なすぎるので、予想が無限に膨らんでしまうのは致し方ない。

 "魔女"とリンクできたエリクト。特別な存在になった彼女が成長して何を思い、どう行動を起こすのか。あの出来事がロウソクの火が消せないほどのトラウマになっているのか、それとも……。

エリクトの眉毛が気になっていたが、その答えはプロローグにあった。